深化するミーティングスペース
ITの進化とともに、深化しているコミュニケーションの場。ここでの「場」とは、物理的なスペースを指すのではなく、時間と空間を共有することであり、人と人との関係が成り立つときの「場」です。そのような視点から「コミュニケーションの場」としてのミーティングスペースが、オフィスの中でどのようにかたちづくられ、ビジネスに活用されているのかをみていきましょう。
1.ミーティングの成功はビジネスの成功
現代は一人が複数のプロジェクトを受け持つケースが多く、時には専門外の情報や発想が必要となります。仕事のクオリティはもちろん、IT活用によるスピードと効率も求められています。要求されることは多いが、いずれにしても一人で最終決定されるまでにプロジェクトを遂行するのは難しいのです。
「三人寄らば文殊の知恵」のとおり、複数の異なる考え方、アイデア、志向などを取り入れながら、クオリティを高めるのがベストといえるでしょう。一人だけの発想では得られないものを複数で出し合い、問題を解いていくことが大切です。
だからこそ、コミュニケーションの場の代表であるミーティングスペースは、ますます重要視されてきており、ミーティングの成功がビジネスの成功といわれる所以となっているのです。
会議室やミーティングスペースでのフォーマルなコミュニケーションだけでなく、リフレッシュルームや通路スペースなどでのちょっとした会話などによるインフォーマルなコミュニケーションもプロジェクトの成功には必要な要素のひとつ。それぞれのコミュニケーションがどのように影響を与えあっているか? また、それぞれが効果的にシナジー効果を得るにはどうしたらよいか? 高まるミーティングスペースの重要性について考えていきましょう。
2.インフォーマルがフォーマルに影響を与える
プロジェクトは、最終的にフォーマルコミュニケーション(*1)の場に完結されるが、その過程でインフォーマルコミュニケーションにより生まれる新しい発想や考え方は欠かせないものと多くの企業が認めています。ミーティングテーブルでのラフな打ち合わせ、リフレッシュルームや喫煙室、コピーコーナーなどでの立ち話から得られる耳寄り情報やヒント、EVホールや通路などの移動時のさりげない情報交換が有効なひらめきとなることもあり、それはやがてフォーマルな場の「企画書」「提案書」となるケースは多いのです(図1参照)。
こうした偶発的なコミュニケーションを促進させるプランは、各企業それぞれに工夫されています。自然なコミュニケーションを目指し、ミーティングテーブルやカウンターテーブルを各所に設置したレイアウト、デスクパネルを取り払ったデスクプラン、ワーカーの利用頻度の高いコピー機まわりのマグネットスペースの活用、執務からミーティングまで自由な組み合わせが可能なノンテリトリアル用テーブル、エーキューズ フレームシステムによるアウェネス効果(*2)など、実用的なコミュニケーション促進策です。
いずれも、人がなんとなく集まりやすい場、リラックスできる場、自由度の高い場などが基本。また、その場に集まったメンバーが共通認識できるPCやプロジェクター、ホワイトボードなど、ビジュアルとして即時記録できるツールが装備されると、より多様で便利な使い方ができます。

図1:プロジェクトにおけるコミュニケーションのあり方
*1……フォーマルコミュニケーション
時間・出席者・テーマ・議題・目的・司会者が存在するもの。
インフォーマルコミュニケーションはその逆の偶発的なもの。
*2……アウェアネス
誰が何をやっているのかをなんとなく知ることで、その存在感に気づくこと。
人の気配を感じることでコミュニケーションの促進効果につながる。
2.ITにできないフェイス・トゥ・フェイスのライヴ感
ITの進展によって、人が集まった方が効果的なコミュニケーションと、メールなどでスピーディに伝えられるコミュニケーションと、目的に応じた使い分けが明確になってきています。
ITはいわば言語情報のみのフォーマルな情報であり、人の表情は読み取ることはできません。その点、フェイス・トゥ・フェイスは人の表情や感情、身振り、手振りが伝わり、コミュニケーションが弾みます。そしてリラックスした雰囲気の中での相手の反応を確かめながらの話し合い。これこそがインタラクティブコミュニケーションの実現でしょう。ITの活用が増えるほどにフェイス・トゥ・フェイスでのコミュニケーション触発の場の重要性は高まるといえます。
イトーキではライブオフィスにより、自らが体験し、その効果を検証しており、体験に基づいたミーティングスペースの提案をさらに充実させていく方針です。