オフィス計画と連動する床のデザイン
オフィスデザインにおいて忘れてはならないのが床のデザイン。受付やリフレッシュスペースなどにおける空間のアクセントとしてだけでなく、執務スペースの動線を示すサインとしても機能するなど、その役割は広がってきています。足下から広がるオフィスデザインの可能性を確かめてみましょう。
1.新たな変化を見せるオフィスの床デザイン
ここ数年、オフィスの床は歩行性や空間演出以外に、サイン計画やゾーニングの一環としたデザインが見られるようになっています。IT化への対応などを経て、デザイン面での工夫が進んでいるのは間違いありません。大手内装材メーカーの企画の現場で経験を重ね、現在「インテリア文化研究所」主催の本田榮二氏は、オフィスフロアの変遷と床材性能の向上に着目して、次のように話しています。
「日本のオフィスの床材は、約25年周期で変わってきました。1900年から25年頃は、木や人工大理石が主流で、50年頃まではリノリウム。75年頃までは塩ビタイルになり、2000年頃はコントラクト・カーペット(オフィス用のロールカーペット)。現在主流であるタイルカーペットが、ITに対応するOAフロアとともに登場したのは90年頃。開放的な共用空間が増えたため、配線システムの間仕切りではなく、床に収める必要があったからです。当初、貼り方は素材の性質上、市松模様が中心だったか、(1)寸法安定性、(2)カット技術、(3)施工性が向上し、アイデア次第でデザインの可能性は広がりました」
今後は、素材の進化やリサイクルへの取り組みが課題となるはずだが、タイルカーペットは主流として続いていくのではないかといいます。床の機能やオフィス計画と連動したデザインで、タイルカーペットの可能性はさらに広がります。
ゾーニングに合わせて、床の配色でエリアを区分
主動線を床のアクセントで明確に表現
制作:「office gateオフィスデザイン研究会」